人生が変わるCafe「人と本と旅」③~中岩 浩二(56歳/営業課長)~

中岩 浩二(56歳/営業課長

死ぬまで現役。
そんな風に思い始めたのは最近かもしれない。
高校の同級生だった坂上は確か俺と同じ業界で、営業畑。なんか似てるところがたくさんあって妙に馬が合う。

「中岩、お前、生涯現役でいるためのプランって持ってるか?」同窓会の二次会で突然あいつがそんなことを言ったんだよ。
坂上は最近会社勤めの傍ら、NPOのボランティアと、後はずっと趣味だった鎌倉彫りを、教室を開いて週末1日をつかって教えはじめたらしい。
最近は副業規定も相当緩くなって、むしろ奨励してる企業も増えてきた。
そのほうが本業にも付加価値を生むという考え方らしい。
俺が若い頃には考えられないようなことだ。

最近、「新しいはたらき方」とか「今の仕事の半分はAIにとってかわられる」とか、言われているが、正直俺には関係ないし、別にあと10年も現役でいる
ことはないわけだしと、あまり関心がなかった。
でも人生100年時代なんて書かれている本なんかも最近目にして、坂上との話も相まって、自分のこの先の人生を考えるようになって、あらためて自分の「この先」を思った。

今は、会社でも役割があり、部下もいて、必要とされている実感も、世の中に対して貢献しているという実感も少なからず感じてはいる。
でもそれは今「与えられている」ものであって、今の会社や役割を離れた時に自分はどうなるのか?その状態になってもまだ体も動くし人生は続くと考えた時、自分は何をしているのか?まったくイメージがわかない。
別に旅行に行ったり、おいしいもの食べたりなどに、そんなに興味があるわけでもない。

「まさか、56歳で自分のこれからのキャリアを考えるなんてな」そんなことを思いながら、今までにないような漠然とした不安を感じた。

坂上から面白いカフェがあるからと紹介されたのが「人と本と旅」というカフェだ。本屋も兼ねたカフェ型本屋といっているらしい。
オーナーの鵜川さんと話をいろいろした。自分より一回り若く、穏やかだがエネルギーを感じるでも威圧感の無い自然体な佇まいになんか惹かれるものがあった。
坂上は彼のワークショップを受けてからだいぶ人生が変わったと言っていた。

またその副産物と言っていたが、ビジョンやそれを形にするプロデュース思考を学ぶことで、自部署の活性化にも成功したらしい。
ずっと不振で雰囲気もよくなかったチームが今は生まれ変わったようだと言っていた。



そんなにも変わるものなのか半信半疑だったが鵜川さんと話ながらなんとなくその意味がわかったような気がする。
来月からから3ヶ月間、彼のワークショップを受けることに決めた。

さらに自分のなんとなくイメージしているビジョンと近い人の本を読んでみることも勧められた。

面白いことにここの本棚は、いろんな人のお勧めの10冊が並んでいて、鵜川さんのワークショップを受けた人は希望すればここに自分の10冊を並べるこ
とが出来る。
(自分の蔵書ではなく同じものを仕入れて売り物として)
そしてそれが売れたら売上の1%をポイントとしてもらえて、ここでの買い物や飲食やワークショップ代に充てることができるらしい。
すごい人は月に500ポイント、中には2000ポイントという強者もいるらしい。

そういう仕組みもユニークで、これを考えた鵜川さんにますます興味を持ったんだ。
不思議と、最近感じていた漠然とした不安感はやわらぎ、むしろなんか俺も50半ばにして人生変わるかもしれないというワクワク感にわずかながら心踊っている自分がそこにはいる。
こんどかみさんも連れてきてみようか。